愛情ごはんを届けたい ~エリート社長は過労死寸前!? あなたの心と体を私の料理で癒します~

「ははっ、年下にこんなに甘えて情けないオジサンだよね」
「もう、またオジサンっていった。東條さんはまだオジサンじゃないですよ! ほら、ニンジンいっぱい食べて若さを保ってください!」

 ちょっと怒ったような口調で、でも決して怒っていない咲良ちゃんは笑ながら「ポトフいっぱいありますよ」といいながら自分のスープカップに手を伸ばした。

「なんでニンジン?」
「抗酸化作用が高くて手軽に食べられるのはニンジンですよ。カロテノイドとかビタミンAとか」
「咲良ちゃんって、健康オタクだね」
「ふふっ、そうかもしれません。その健康オタクが社長の健康を守ります」

 おどけていった咲良ちゃんは、それから抗酸化作用が望める野菜の話を始めた。ニンジンは油と一緒に摂取した方がいいとか、春菊やオクラにはポリフェノールが多く含まれているだとか。
 お父さんの過労死が、彼女を健康オタクにしたのかもしれない。
 
 咲良ちゃんの話に耳を傾けながら食べる料理はいつまでも温かく、幸せを噛み締めながら時間がすぎた。