愛情ごはんを届けたい ~エリート社長は過労死寸前!? あなたの心と体を私の料理で癒します~

 ちらりと店長の様子を窺ってみれば、丁度コーヒー豆を挽き終わったところだった。にこりと微笑まれて「やってみますか?」と訊ねられた。
 すっかりコーヒーを淹れる準備は整ったみたい。

 冷静に考えて、練習なしぶっつけ本番なんて失敗する未来しか見えないよね。東條さんは期待の眼差しを向けてくるけど、思い切ることは簡単じゃない。

「……やっぱり東條さんには美味しいコーヒーを飲んでもらって、午後も頑張ってほしいです。だから、ちゃんと練習してからお出ししたいです!」

 包み隠さず本音をいうと、東條さんはちょっと驚いた顔をしたけど、目を細めて「それは楽しみだな」と頷いてくれた。

「じゃあ、自信をもって出せるようになった一杯目は、俺のために淹れてくれるって、約束してくれる?」
「もちろんです。頑張って練習しますね!」

 気合を入れて宣言すると、東條さんは「俺のために頑張ってね」といって、ホットサンドを全て平らげた。
 空になったお皿を下げてしばらくすると、ふわりと芳ばしいコーヒーの香りが立ち上がった。