野菜を洗うところまでは手伝ったが、他に手伝えそうなことはなかった。
てきぱきと動く咲良ちゃんを側で見ていたくて、カウンターにノートパソコンを持ち出して報告書に目を通しながら時間をすごした。
時折、可愛い姿を見ては頬が緩む。
咲良ちゃんが「お嫁さんになったら、毎日作らないとですね」と冗談をいったとき、つい真に受けて、そうなったら幸せだろうなんて口走ってしまった。
小松菜を洗っていた音で、どうやら届いていなかったようだった。ほっとしたような、残念なような複雑な気持ちが腹の奥に残った。
十二時を少し回った頃、炊飯器が炊飯の完了を知らせた。
無機質な部屋には、醤油と出汁の香りが充満している。
自前のエプロンを身につける咲良ちゃんは、炊飯器を開けると深く息を吸って目を細めた。
「美味しそうに炊けましたよ、キノコご飯」
「さっきから美味しそうな匂いで、お腹が鳴ってるよ」
「鮭のホイル焼きもできたし、いつでも食べられますよ」
小首を傾げた咲良ちゃんは少し遠慮気味に「食べますか?」と尋ねた。おそらく俺の仕事を気にしているのだろう。
てきぱきと動く咲良ちゃんを側で見ていたくて、カウンターにノートパソコンを持ち出して報告書に目を通しながら時間をすごした。
時折、可愛い姿を見ては頬が緩む。
咲良ちゃんが「お嫁さんになったら、毎日作らないとですね」と冗談をいったとき、つい真に受けて、そうなったら幸せだろうなんて口走ってしまった。
小松菜を洗っていた音で、どうやら届いていなかったようだった。ほっとしたような、残念なような複雑な気持ちが腹の奥に残った。
十二時を少し回った頃、炊飯器が炊飯の完了を知らせた。
無機質な部屋には、醤油と出汁の香りが充満している。
自前のエプロンを身につける咲良ちゃんは、炊飯器を開けると深く息を吸って目を細めた。
「美味しそうに炊けましたよ、キノコご飯」
「さっきから美味しそうな匂いで、お腹が鳴ってるよ」
「鮭のホイル焼きもできたし、いつでも食べられますよ」
小首を傾げた咲良ちゃんは少し遠慮気味に「食べますか?」と尋ねた。おそらく俺の仕事を気にしているのだろう。


