愛情ごはんを届けたい ~エリート社長は過労死寸前!? あなたの心と体を私の料理で癒します~

 静かに発進した車内で東條さんから、色々聞き出した。

 マンションにある調理器具がどれくらいあるかとか、今日食べたい料理のリクエストとか。今までお弁当に入れたどの料理が美味しかったとか、小松菜と榎の和え物が美味しかったのに少なくて残念だったなんて話も。

 楽しい時間が続き、初めての自宅訪問に緊張していたことをすぐに忘れてしまった。

 スーパーでは、食べたいものを聞きながら、買い物かごをぎゅうぎゅうにした。
 東條さんのことだから、私が作らなければ食材を無駄にしそうだし、できる限り使いきれる量を買おうとしたんだけどね。食べたいもののリクエストを考えたら、あれもこれも買いたくなってしまった。

 少しでも美味しいって思って欲しいし、ご飯を楽しんで欲しかったから。

 そうして連れられてきたのは、港区にあるお洒落なデザイナーズマンションだった。
 やっぱり、社長なんだなとか思いながらきょろきょろしていると、エントランスでオートロックを解除する東條さんに「咲良ちゃん、おいで」と呼ばれた。
 緊張しながらエレベーターに乗り、辿り着いた部屋に入って唖然とした。

 物がなさすぎる。