愛情ごはんを届けたい ~エリート社長は過労死寸前!? あなたの心と体を私の料理で癒します~

「店長、なにいってるんですか? 私、まだコーヒーの淹れ方すら教わってませんよ。そんなのサービスになりませんってば」

 おかしなことをいい出した店長に首を傾げると、東條さんは「え、咲良ちゃんの初めてをもらえるの?」と目を輝かせた。

「初めてって、いい方がいやらしいんですけど。セクハラで訴えますよ」
「あははっ、今の若い子は手厳しいな。でも、咲良ちゃんがコーヒー淹れてくれたら、午後の仕事も頑張れそうなんだけど」

 悪びれる様子のない東條さんはスープを飲み干すと、残りのホットサンドに手を伸ばした。

「無理ですよ。せっかくのコーヒー豆が無駄になりますって」
「そんなことないと思うけどな。ほら、咲良ちゃんって器用そうだし。頑張ってみてよ」

 東條さんにそういわれてしまったら、やるしかないような気がするから不思議だ。でも、やっぱり初めてのものをお客様に出すというのは気が引ける。

 そろそろコーヒーの用意をした方がよさそうではあるんだけど。