愛情ごはんを届けたい ~エリート社長は過労死寸前!? あなたの心と体を私の料理で癒します~

「それで野崎ゼミ志望ってわけか。咲良とイノもだよね?」
「起業までは考えてないけどね。野崎教授の授業が一番楽しかったから」
「あたしは、秘書を目指しているからね。経営戦略論が専門の野崎教授に教われば、経営者のパートナーとしてのスキルを磨けるじゃない?」

 猪原さんの言葉にどきっとした。

「経営者のパートナー……」
「イノ、そこまで考えてるんだ。やっぱ野崎ゼミ志望のメンツって凄いね。あたしには無理だわ」

 あっけらかんと笑う陽菜ちゃんは、私のノートパソコンを覗き込むと「やばっ、レポート忘れてた!」と顔を引きつらせた。

「締め切りっていつだっけ?」
「日曜の23時59分。俺もやばいんだよ。だから、こんな無駄話してる暇ないんだって」
「明日ライブなのに! イノ、助けて!」
「あたしだって自分のことで手一杯よ。とりあえず、事例集めをとっととやりなさいな」

 猪原さんに泣きつく陽菜ちゃんは、すっかりお弁当のことを忘れてくれたみたいだ。
 ホッとしながら、なんともいえない複雑な気分を胸に抱いて、ノートパソコンのディスプレイに視線を向けた。