愛情ごはんを届けたい ~エリート社長は過労死寸前!? あなたの心と体を私の料理で癒します~

「いいや、なんでもない。それより、昨日のお弁当も美味しかったよ。卵のそぼろご飯かと思ったら、中から肉そぼろが出てくるのいいね」
「気に入ってもらえてよかったです。ほら、寒くなってきたから、肉そぼろの脂が浮いたら嫌だなって思って、ご飯に挟んでみたんです」

 褒められたのが嬉しくて頬が緩んでいく。
 また作ってほしいっていわれて、さらに嬉しくなる私はチョロい女だって自分でも感じる。
 周りが見えなくなるくらい舞い上がって、この時、東條さんと歩いているのを見られているなんて気づかなかった。

 歩けばニ十分かかる道も、車だと本当にすぐだ。
 五分かそこらの短い時間だけど、東條さんの運転する姿を横で見ることができる特別感に、心がまたふわふわとする。

「明日、料理作ってもらえるの楽しみだな」

 ずいぶん機嫌がよさそうな東條さんは、交差点で車を停めると私の方を振り向いた。

「でも、冷蔵庫が空っぽだから一緒に買い物に行ってくれるかな?」
「やっぱり空っぽなんですね」

 朝食をバナナで済まそうとするような人だもの、想像はついていたわ。