愛情ごはんを届けたい ~エリート社長は過労死寸前!? あなたの心と体を私の料理で癒します~

 駅から大学までは徒歩でニ十分ほど。朝一の講義が入っている日だとしても、充分間に合う時間に到着しているから、車で送ってもらう必要はないんだけどな。
 下心をいえば、東條さんと少しでもお話しできるのは嬉しい。でも、申し訳なさもある。

「運転しながらリモート会議って、危険じゃないんですか?」
「その時はパーキングに停めるから安心して。あ、もしかして……」

 なにかいいかけた東條さんは苦笑すると「オジサンのわがままに付き合うのは嫌かな?」といいだした。

「オジサンって、東條さんはそんな歳じゃないでしょ?」
「咲良ちゃんと十近く離れてるよ」
「たった十じゃないですか。それに自分でオジサンっていってたら、本当にオジサンになっちゃいますよ」

 というか、こんなイケメンを捕まえてオジサンなんていったら、見知らぬ東條さんのファンに刺されかねない気がする。きっと会社にだって、東條さんファンがいるだろうし。

 駅の駐車場に向かいながら、東條さんは「だけど」といいかけた。かと思えば黙ってしまった。

「東條さん?」