愛情ごはんを届けたい ~エリート社長は過労死寸前!? あなたの心と体を私の料理で癒します~

「田舎のコンビニ経営だったんですけどね。昼夜問わない働きがよくなかったみたいで」

 睡眠時間はバラバラだし食生活も乱れていた。そんな話を咲良ちゃんは、ぽつりぽつりと打ち明けてくれた。
 赤信号で止まった交差点で、少し寂しそうな顔が俯いた。

「会社経営とは規模が違うけど、大丈夫っていいながら無理してる姿見たら、お父さんを思い出したっていうか」
「咲良ちゃん……」
「あ、いや、私のお父さんより東條さんの方が全然若いし、カッコいいけど! じゃなくて、その……あははっ、私、なにいってるんでしょうね」

 笑いながら目を擦る咲良ちゃんに、どうしてか、小さな子どもが重なって見えた。
 父親を早くに亡くし、母親と二人で頑張ってきたのかと思うと胸が苦しくなる。

「……咲良ちゃん、ありがとう。辛いことを思い出させたね」
「いいえ、その……すみません、こんな暗い話して。でも、せっかく会社を立ち上げたんだから、東條さんには健康で頑張ってほしいなって思って」

 目のあたりを指先で擦る姿を、見てみぬふりをして口を閉ざした。