愛情ごはんを届けたい ~エリート社長は過労死寸前!? あなたの心と体を私の料理で癒します~

 一人暮らしを始めたばかりは、寂しくてお母さんと通話しながらご飯を食べたこともあった。
 友だちができて、部屋に招いて一緒に食べることも増えて──私にとってのご飯は、誰かの笑顔があるんだと、ふと気付いた。

 もしかして、東條さんがご飯を疎かにしているのって……

「だったら、誰かと一緒に食べたらどうですか?」
「昼休みまで社長の顔色は窺いたくないだろ?」
「ベンチャー企業ってそんなお堅くないですよね。社員と打ち解ける機会だと思えばいいのに」
「……咲良ちゃん、手厳しいな。本当に大学2年生なの?」
「東條さんが体を大切にしないからいけないんです」
 
 冷凍パスタが並ぶ横、お弁当タイプのパッケージの前で立ち止まった。

「ほらこれ、ご飯にメインのおかずと付け合わせまで、ついてるんですよ」
「ああ、このタイプか」

 冷凍野菜に興味を示していたから、冷凍お弁当も驚くと思っていたのに、東條さんの反応はとても淡泊だった。

「知ってたんですか?」
「食べたことはないけどね。最近、冷凍弁当の宅配専門サイトとかもあるでしょ」
「ありますね。一人暮らしや共働き世帯に浸透し始めてるって話ですが」