愛情ごはんを届けたい ~エリート社長は過労死寸前!? あなたの心と体を私の料理で癒します~

「お母さん、明日、そっちに帰ろうと思うんだ」
「それじゃあ、年越し蕎麦を用意しないとね」
「うん、それでね……この前話したけど、会ってほしい人がいるの」
「覚えてるわよ。連れてくるんでしょ? お酒とお布団の用意もしておくから、心配しないで連れていらっしゃい」

 お母さんはどこまで気付いているんだろうか。
 私の横に並んで立つ一織さんを見上げ、スマホの向こうへ「ありがとう」といって、私たちは笑い合った。

「お母さんの大好きな月餅買って帰るね」
「楽しみに待ってるわよ」
「うん。また連絡するね」

 窓から差し込む朝日に目を細めて通話を切った。
 すっとコーヒーカップが差し出された。

「もしかして、緊張してた?」
「うん」
「帰省するっていうだけなのに?」
「そうだけど……一織さんが、その、お母さんに許可を取るなんていうから」

 昨日のことを色々と思い出し、頬が熱くなってきた。
 カップをもったままソファーに座ると、横に座った一織さんは自分のカップをテーブルに置く。