愛情ごはんを届けたい ~エリート社長は過労死寸前!? あなたの心と体を私の料理で癒します~

 ドキドキしながら一織さんを見つめていると、その喉がごくりと鳴った。カップから口を放すと、ほうっと安堵の吐息が零れる。
 振り返った笑みは砂糖のように甘くて、美味しいよと囁く声はミルクのように優しい。

「ほら、咲良ちゃんも飲んでみて」
「は、はい!」

 促されてはっとした私は、慌ててカップに口をつけた。すると、芳ばしいナッツのような香りが鼻腔をくすぐった。一口飲めば優しいコクが口に広がる。ほんのりと残る苦味は嫌味がなく、ほうっと息をつけば体の力が抜けた。

「──美味しい」
「うん。これからは毎朝、咲良ちゃんにコーヒーを淹れてもらわないとだな」

 ことんっと音を立て、コーヒーカップがカウンターに置かれる。

「……毎朝?」

 首を傾げると、私の手からカップが取り上げられた。
 温まった指先が一織さんの両手に包み込まれる。

「咲良ちゃんを幸せにできないっていったこと、取り下げたい」

 少し強く握りしめられて指先が、じんっと痺れた。

「生涯かけて、咲良ちゃんを幸せにする。だから……結婚して欲しい」

 突然のプロポーズに鼓動が跳ねた。

「俺を信じてくれ」