愛情ごはんを届けたい ~エリート社長は過労死寸前!? あなたの心と体を私の料理で癒します~

 社員さんたちがバタバタと動き出した。
 そういえば、今日は12月29日だった。会社は仕事納めなのだろう。

「私もいいんですか?」

 一織さんを見上げて聞くと「当然だろう」と笑みが返ってきた。
 それから会議室で始まった納会で、社員さんたちは快く私を迎え入れてくれ、今回の騒動が落ち着いたことを喜んでくれた。卒業したら入社決定だねとか、結婚式は盛大になりそうだとか、すっかり話題の中心になった。

「うちの社長、健康に無頓着だったから心配だったのよね」
「そうそう。社食があるのに、俺たちに気を遣ってるのか食いに来ないしさ」
「それが急にお弁当を持ってくるようになって」
「社長もやっと人間らしい生活をするようになったよな」

 にやにやとした社員さんたちの視線が私たちに注がれた。
 やっぱり、食事を疎かにしていたんだとわかり、一織さんを見上げると、困ったような照れたような笑みを向けられた。

「やっぱりご飯食べてなかったんですね」
「食べてたって。ほら、さざんかに行ってただろ」
「毎日来てたわけじゃないでしょ。笑って誤魔化さないでください」