愛情ごはんを届けたい ~エリート社長は過労死寸前!? あなたの心と体を私の料理で癒します~

「橘麗華、並びに橘不動産社長から、婚約は不当なものであるという証言を得ている。たとえ父親であろうとも、婚約解消に口出しをする権限はない」
「お前はまだわからんのか。東條の社長夫人になるというのがどれほど大変だと思っている。一般の、それも片親の娘には荷が重い。その小娘を囲いたいというなら好きにすればいい。だが、結婚は私が認めた娘以外に認めはしない」

 私たちを見下す東條社長がふんっと鼻を鳴らすと、一織さんは奥歯をギリッと噛み鳴らした。怒鳴りたいのを我慢しているのだろう。それが伝わってくる。
 握りしめられている手にそっと指を伸ばすと、しっかりの握りしめられた。

「訴状内容はまだ続きます」

 顧問弁護士が静かに話に割って入った。

「東條一織、橘麗華の婚約解消が成立したにも関わらず、再三にわたり介入を試み、交際相手である坂下咲良の大学退学をほのめかす行為は、脅迫行為とみなされます」
「その小娘に私がなにをしたというんだ。証拠はないだろう」

 東條社長が鼻で笑うと、一織さんはポケットからスマホを取り出した。