愛情ごはんを届けたい ~エリート社長は過労死寸前!? あなたの心と体を私の料理で癒します~

 高い天井のエントランスには暖かな光が降り注いでいる。
 木目と白を基調とした空間は美しすぎて、足がすくんだ。整然とした美しさに、規律を重んじる大企業の重さが見え隠れする。

 こんなとこで気圧されてはいけない。一織さんが長年感じてきた重みに比べたら、なんてことない。
 深く息を吸い、心を落ち着けようとしていると、一織さんが背中にそっと手を当てた。

「俺の横にいてくれるだけでいい。それだけで、俺は戦える」
「……はい」

 一織さんに支えられるようにして、案内されたのは最上階にある社長室。そこで一織さんのお父さん、眼光の鋭い東條秀儀が私たちを待ち構えていた。
 東條社長は刺すような視線を私に向ける。

「まだその小娘を側に置いているのか。いい加減諦めたらどうだ、一織」

 凄みのある声に背筋が震えた。この声に、一織さんは長年縛られてきたのだろう。逃げることしか考えられないようになるくらい、ずっと。

 東條社長を見据えていた一織さんが、顧問弁護士をちらりと見れば封筒が差し出された。

「あなたを訴える準備がある」