大手ゼネコン東條建設の息子で、ベンチャー企業の社長。肩書は凄く輝いているのに、彼がちっともそう見えなかったのは、こんなにも悲しみを抱えているからだったんだ。
「泥を塗られたあの男からしたら面白くないだろう。橘社長から、婚約解消の話を聞き、さっき電話をかけてきたわけだ。謝りにいけと。それから……」
コーヒーカップを取り出した一織さんは、ポットをゆらゆらと揺らすと、ゆっくりそれを注いだ。
「咲良ちゃんのことを調べたといわれた」
「……え?」
「大学を退学に追いやるくらい、造作のないことだと脅された」
コーヒーの残るポットがコーヒーメーカーに戻される。
「咲良ちゃん……愛してる。側にいて欲しい。だけど……君の未来を潰すようなことはしたくないんだ」
「……一織さん?」
「君を守るために俺ができることは」
いいかけて言葉を飲み込んだ一織さんは、今にも涙をこぼしそうな顔で私を見た。
「咲良ちゃん、もう君とは二度と会わない」
「どうして、そんな。待って」
「今の俺では、あの男に太刀打ちできない。君を守るためには」
「待って、一織さん! そんなのおかしい!!」
伊織さんの袖を掴み、毅然とその顔を見つめた。
「泥を塗られたあの男からしたら面白くないだろう。橘社長から、婚約解消の話を聞き、さっき電話をかけてきたわけだ。謝りにいけと。それから……」
コーヒーカップを取り出した一織さんは、ポットをゆらゆらと揺らすと、ゆっくりそれを注いだ。
「咲良ちゃんのことを調べたといわれた」
「……え?」
「大学を退学に追いやるくらい、造作のないことだと脅された」
コーヒーの残るポットがコーヒーメーカーに戻される。
「咲良ちゃん……愛してる。側にいて欲しい。だけど……君の未来を潰すようなことはしたくないんだ」
「……一織さん?」
「君を守るために俺ができることは」
いいかけて言葉を飲み込んだ一織さんは、今にも涙をこぼしそうな顔で私を見た。
「咲良ちゃん、もう君とは二度と会わない」
「どうして、そんな。待って」
「今の俺では、あの男に太刀打ちできない。君を守るためには」
「待って、一織さん! そんなのおかしい!!」
伊織さんの袖を掴み、毅然とその顔を見つめた。


