愛情ごはんを届けたい ~エリート社長は過労死寸前!? あなたの心と体を私の料理で癒します~

 落ち着いた声に戻った一織さんは、私の頭を撫でると「咲良ちゃんには敵わないな」といって笑った。

 それから、レンジで温めなおされたスープを持ってきた一織さんはカップに口をつけた。あんなに、レンジで温めるのが嫌いだっていっていたのに。

「冷めてるより美味しいね」

 私の視線に気づいたのか、少し笑ってそういった。それから、ホットケーキをひと口大に切りながら話しを始めた。

「どこから話そうかな……俺の母親が愛人だったって話はしたよね」
「はい。早くに亡くなって、一織さんは、お父さんと暮らすようになったんですよね?」
「ああ、それが中学の頃だ。あの男と本妻の間には子どもがいなくてな。俺が生まれた時は厄介払いをしたくせに、母さんが死んだら目の前に現れて、俺のことを跡取りだとかいいだした」

 未成年で従うしかなかったこと、必ず独立して東條家を出ていこうと決意したこと、ようやっとベンチャー企業の社長となれたこと。淡々と話す一織さんは、その合間にホットケーキを口に運び、気付けば全て平らげていた。

「今動いているプロジェクトで、どうしても不動産に強いチームが欲しかったんだ」