愛情ごはんを届けたい ~エリート社長は過労死寸前!? あなたの心と体を私の料理で癒します~

 婚約解消のことは、私にも責任があるっていったのに。一織さんの力になりたいって、あんなに話したのに。昨夜のことを、もう忘れてしまったのだろうか。
 逞しい一織さんの胸から、強い鼓動が伝わってくる。

「私を信じてくれないんですか?」
「違う!」

 私の手を振り払った一織さんは、こちらを振り返ると辛そうな顔を見せた。怒りと悲しみ、どうしようもない感情が彼を満たしている。

「一織さん、もう一度デリゲーションのお話をしましょうか?」

 静かに尋ねれば、綺麗な眉が辛そうにしかめられた。
 私を巻き込みたくないとか、自分で背負い込もうとしているに違いない。それが一織さんの優しさでもあるんだろう。だけど、本当に厄介なくらい頑固だわ。

「お父さんからの電話だったんですよね?」

 改めて尋ねれば、押し黙る一織さんは一度、唇を強く噛んだ。それから、ため息をつくように低い声でああと相づちを打つ。

「婚約解消のことで、なにかいわれたんですね?」
「……ああ、今から橘家に謝罪にいけといわれた」