愛情ごはんを届けたい ~エリート社長は過労死寸前!? あなたの心と体を私の料理で癒します~

 一般庶民な私からしたら、夢もまた夢みたいな車だ。

 ベンチャー企業で成功するって凄いんだなと、変に感心していると、東條さんがため息をついた。

「それには間に合わせる。ああ、問題ない。それじゃ、これから移動するから」

 どうやら話は終わったらしく、通話を切った東條さんは「お待たせ」といって車のドアを開けた。
 さあと促されて助手席に乗り込むと、シンプルな内装にただ驚いた。
 
「最近の車って、タッチパネルなんですね。メーターもパネルなんだ」
「そうだね、増えてると思うよ。まあ、俺はあまり車に興味はないし動けばいいんだけど」
「ええっ、こんな高そうな車に乗っていて──!」

 思わず素で反応すると、スマホを触っていた東條さんは大口で笑い出した。

「ははっ、確かに安い買い物ではなかったな。俺としては車に金をかける気はなかったんだけど」

 楽しそうな顔で話しながら、シフトレバーを倒した東條さんはアクセルを踏む。すると、車は私の知るようなエンジン音を立てることなく動き出した。お母さんが乗っている中古車とは大違いだ。