私たちの幸せな時刻を引き裂くように、一織さんのスマホが着信を告げる。
「ごめんね」と申し訳なさそうな顔でいった一織さんは、スマホを手に取っ瞬間、穏やかだった表情を一変させた。
すっと立ち上がり、窓辺の方へと歩いていき、スマホを耳に当てると「なんの用ですか」と静かにいった。
聞いたこともないような冷たい声だった。
「──その話は橘社長と済んでいます。あなたが口を挟むことじゃない」
橘社長って、麗華さんのお父さんのことだよね。
もしかしたら、この電話は一織さんのお父さんからなのかも。婚約解消を怒って連絡してきたのかもしれない。
不安に思いながら様子を見守っていると、一織さんは声を震わせた。
「彼女は関係ないだろう!」
明らかに怒っているのが、声だけじゃなくて後ろ姿からも伝わってくる。
なんの話をしているんだろう。麗華さんのことだけじゃないのかな。
どうすることもできず、胸元のダイヤモンドに触れた時だった。
「ふざけるな!!」
声を荒げた一織さんの拳が窓に叩きつけられた。
「ごめんね」と申し訳なさそうな顔でいった一織さんは、スマホを手に取っ瞬間、穏やかだった表情を一変させた。
すっと立ち上がり、窓辺の方へと歩いていき、スマホを耳に当てると「なんの用ですか」と静かにいった。
聞いたこともないような冷たい声だった。
「──その話は橘社長と済んでいます。あなたが口を挟むことじゃない」
橘社長って、麗華さんのお父さんのことだよね。
もしかしたら、この電話は一織さんのお父さんからなのかも。婚約解消を怒って連絡してきたのかもしれない。
不安に思いながら様子を見守っていると、一織さんは声を震わせた。
「彼女は関係ないだろう!」
明らかに怒っているのが、声だけじゃなくて後ろ姿からも伝わってくる。
なんの話をしているんだろう。麗華さんのことだけじゃないのかな。
どうすることもできず、胸元のダイヤモンドに触れた時だった。
「ふざけるな!!」
声を荒げた一織さんの拳が窓に叩きつけられた。


