愛情ごはんを届けたい ~エリート社長は過労死寸前!? あなたの心と体を私の料理で癒します~

「あ、あの、私はなにも用意してないし……」
「俺に時間をくれたし、美味しいホットケーキを焼いてくれた。それで充分だよ」

 私の手を取った一織さんは、掌に赤い箱を置くと「あけてごらん」といった。
 リボンを解くと、そこには一粒のダイヤモンドが輝いていた。とてもシンプルなデザインのネックレスだ。

「本当は指輪を贈りたかったんだけどね。まだ早いって怒られる気がしたし、サイズもわからなかったから」

 いいながら、ネックレスを手に取った一織さんは「つけていいよね?」という。ダメなんていえるわけがない。ただ頷ずくことしかできずにいると、一織さんの手が首に触れた。
 音もなく、首に下がったネックレスが朝日を浴びる。
 私の胸元でダイヤモンドが輝いている。

「若い女の子の好きなブランドとかわからないけど、これだったら間違いないかと思ってさ。どんな服にも合わせられるだろうし」
「……学生の私には早すぎませんか?」
「大丈夫。似合っているよ」

 ドキドキと高鳴る胸元で光るダイヤモンドにそっと触れる。

「大切にします」

 やっとの思いで言葉を紡いだその時だった。
 甘い空気を消し去るように、一織さんのスマホがテーブルの上で鳴った。

「こんな朝早くに誰だ」

 時刻は七時半。仕事の電話が鳴るのには早すぎる時刻だった。