愛情ごはんを届けたい ~エリート社長は過労死寸前!? あなたの心と体を私の料理で癒します~

「なんで?」
「コンビニじゃなくて、スーパーに行きましょう。ここから近いところだと、ライフガーデンの冷食コーナーが充実しているんです。案内します!」

 思い切って誘うと、東條さんは腕時計をちらっと見た。そうして、スマホを取り出して少し考えるそぶりを見せると「いいよ」と頷いた。

「一本だけ電話していいかな?」
「はいどうぞ!」

 ちょうど校舎を出たところで、東條さんは宣言通り電話をかけはじめた。そのまま、最寄り駅に向かう道とは逆方向へと歩き出す。
 
「東條さん、駅はあっちですよ」

 まだ話している東條さんの袖をちょっと引っ張り、駅の方を指差すと、切れ長の瞳が細められた。すると、長い指が来賓用駐車場の方角を示した。
 もしかして、車で来てるってことかな。

 通話をしながら時折、苦笑を見せたり「そこをなんとか頼むよ」と気楽な感じに話していた東條さんは駐車場を進むと、シャープな流線形の車の前で立ち止まった。

 濃紺のメタリックカラーが光を反射してキラキラと輝いているこの車、きっと外国産だ。だって東條さん、左のドアの前に立ったもの。 車に興味がない私でもわかってしまった。