愛情ごはんを届けたい ~エリート社長は過労死寸前!? あなたの心と体を私の料理で癒します~

 気持ちは嬉しいけど、猪原さんにこてんと寄りかかっている陽菜ちゃんを見ると、駅で放り出すなんてできそうにもない。
 
「俺も駅で下ろすのは反対だな。できれば早く休ませた方がいいだろうし」

 ハンドルを切った一織さんが話しに割って入ってきた。

「明日は午前の講義がないんだね。二人で休めるところに案内するよ」
「休めるところ?」

 うんと頷いた一織さんは「その代わり」といって私をちらりと見る。

「咲良ちゃんは、この後俺のマンションにお泊りデートな」
「──へ?」

 突然のお願いに頬が熱くなった。当然、断るなんてできなくて頬を赤らめていると、後部座席から呻き声が聞こえた。
 様子を窺うと、陽菜ちゃんがもぞもぞしている。これはどう見ても、電車に乗って帰るなんて無理だろう。

 猪原さんが「ご迷惑をおかけします」と申し訳なさそうに呟いた。

 そうして連れてこられたのは、神奈川在住の私だって知っている高級ホテル、アークタワー東京だった。