愛情ごはんを届けたい ~エリート社長は過労死寸前!? あなたの心と体を私の料理で癒します~

「驚いているのは私もです」
「ははっ、そうなんだ。悪い男には気をつけるんだよ」

 まるでお父さんみたいな厳しい顔をした店長は、次の瞬間には笑って「ほら上がって」といった。

 急かされるようにバイトを上がり、店を出ようとすると、団体客と入れ違いになった。
 もう少し手伝った方がいいんじゃないかと思ったけど、店長はこっちを見てにこりと笑うと、忙しそうにカウンターを出てお客さんの席へといってしまった。

 手伝っていたら合コンには遅れるかもしれないけど。そう思った時、スマホが鳴った。

「咲良、そろそろバイト終わったでしょ? 駅で待ってるから一緒に行こう」
「陽菜ちゃん、あのね……」
「あ、イノがきた! じゃあ、待ってるからね」

 私の声は届かなかったのか、無情にも通話が切られた。
 店長ごめんね。
 心の内で手を合わせて、駅に向かった。

 それから合流した陽菜ちゃんに連れられて行ったのは、イルミネーションが綺麗な道沿いにあるイタリアンバーだった。