愛情ごはんを届けたい ~エリート社長は過労死寸前!? あなたの心と体を私の料理で癒します~

 クリスマスツリーの前で飛び跳ねるうさぎのスタンプを押し、スマホを閉じた。

 イブの夜に彼氏とのデートなんて都市伝説だよね。
 そもそも私はクリスチャンじゃないんだから、バイトに勤しんで、友達とご飯食べて……いつも通りのクリスマスでいいじゃない。一人なわけじゃないんだから。

 自分に言い聞かせながら、重たい雲のかかる空を見上げた。 

 バイトの間は、さすがクリスマスイブって感じにカップルの来店が多くて、そこそこ忙しく駆け回った。そのおかげで余計なことを考えずに済んだんだけど。

「坂下さん、そろそろ上がって大丈夫だよ」
「いいんですか?」
「心配しなくても、もうすぐ夜のバイトが来るから。今日はデートでしょう?」

 客の来店が途切れたタイミングで、店長がにこりと笑った。

「ち、違いますよ!」
「そうなの? いつものファッションが違うから、てっきりそうなのかと」
「これは……今日、友達に合コンに出るよう頼まれて、ちゃんとオシャレして来てって念を押されたんです」
「合コン? 坂下さんもそういうのに行くんだ。意外だな」

 洗い物をしながら、店長は少し驚いた顔をした。