愛情ごはんを届けたい ~エリート社長は過労死寸前!? あなたの心と体を私の料理で癒します~

 都会の真ん中では星もほとんど見えない。マンションの明かりばかりだ。
 冷えた指を握って「行こうか」といえば、緊張しっぱなしの咲良ちゃんが大人しく頷く。
 
「今、年甲斐もなく浮かれてる」

 指を絡めてそういえば、咲良ちゃんの指にきゅっと力が入った。

「咲良ちゃんが婚約者の話を持ち出した時、フラれるって思ったんだ」

 別に俺と咲良ちゃんは恋仲だったわけでもない。
 だけど、好意を感じていたし、俺も咲良ちゃんに惹かれていた。そんな状況で婚約者の存在を黙っていたら、騙したといわれても言い返しようがない。

「恋人でもなかったのにフラれるっていうのもおかしいか。けど……好きだっていわれて、嬉しさと後悔に押しつぶされそうになってさ」

 マンションの前に辿り着き、足を止める。
 少しだけ弱気になっている自分がいたのだろう。思いが通じ合っていると知った今だから、咲良ちゃんを失いたくない気持ちが膨らんでいる。

「咲良ちゃんが離れていくのが怖かったんだ。いつか咲良ちゃんにも恋人ができて、会わなくなる日が来るって覚悟していたつもりなのに」

 横を見ればつぶらな瞳が驚きに見開かれる。