マンションの側にあるコンビニに立ち寄り、朝に食べるものを調達することにした。
 土曜の朝は咲良ちゃんのおにぎりを楽しみにしていたこともあり、冷蔵庫は相変わらず空っぽだっていうのもあるが、女の子が外泊するには必要なものもあるだろうと思ったからだ。

「梅干しと、カット野菜、ベーコンに卵。それと……」

 食品の並ぶ棚へと真っ先に向かった咲良ちゃんは、次々に必要なものをカゴに入れていく。梅干しを買うってことは、おにぎりを作ってくれるのだろう。

「オレンジジュース買っていいですか?」
「かまわないよ。オレンジジュース好きなの?」
「はい。冬に飲むホットオレンジジュースが大好きなんです」
「へぇ……ん?」

 オレンジジュースなんて可愛いチョイスだなと思いながら頷いた直後、聞きなれない言葉に首を傾げた。
 咲良ちゃんの手には、100%オレンジジュースの紙パックが持たれている。どこのコンビニやスーパーでも見かける1リットル入りのものだ。

「今、ホットっていった?」
「いいましたよ」