貴方と奏でる夜想曲 貴女に奏でる小夜曲

車の中では、いっぱいいっぱいお喋りした。

まるで、淋しさがよぎる隙間を作らないように。

自宅まえまで送ってもらったのは今日が初めて。

彼は車から降りると、母と話しをしてくれた。

“お嬢さんとお付き合いさせていただいています”と丁寧に挨拶してくれて。

今夜は自分が引き留めてしまったと謝ってくれて。

今度またあらためて挨拶させて欲しいと頭を下げてお願いしてくれた。

母はもちろん大喜びで、機嫌よく彼の背中を見送った。

私は、彼が頼もしくて、誇らしくて、やっぱり泣きそうになってしまった……。

さらに、寝る前に届いたメッセージが、私をどうしようもなくダメにした。

“紅色のバラの花言葉を調べてみたよ”

送られてきたのは、その短い言葉とURLだけ。

(そっか、バラの紅茶を飲んだから? でも、紅茶って紅色? あ、紅色だから紅茶? そういえば、お花って色によって花言葉が違うのだっけ?)

ぶつぶつ考えながらリンク先のページを開くと、その愛くるしさに頬が緩んだ。

だって、紅色のバラの花言葉は――。

“死ぬほど恋焦がれています”

(もおー、どこまで乙女なんだよおー!)

私は、彼が「好き、嫌い、好き……」と、ちまちま花びらをちぎって花占いする姿を妄想して、ニヤニヤしながら、ベッドでコロコロ悶絶した。

(よーし、真秀に買い物つきあってもらうか!)

冒険へ出かける“装備”を整えるために――。