「どういうことだ……これ。」
「よーキャッチできたな自分!!」
「空から女って…どっかであったような…」
「あーー…なんだったっけなぁ~……あ!!!」
「「「「ラ〇ュタだ……!!!!」」」」
えっ、うるさ……。
頭上から聞こえる色々な声に眉をひそめる。
体を何かに包まれている感覚。
人……だろうか。バクバク心臓が鳴っているのが聞こえる。
いい匂いでいてそれでいて……とてもあたたかい……。
知らないぬくもりに包まれながら自分が何故ここにいるのかを考える。
もう全部どうでもよくなって、それで……あ、そうだ。あそこに行ったんだ。
城がある場所よりももっと奥に進むとある、暦、気候、時間、ある特定の条件が揃わなければ現れない幻の門。……セレクションゲートに。
そのゲートはまさに選択そのもの。
入ってしまえばこちらは選ぶことはできない。出た先が地獄かもしれないし、天国かもしれない。
誰も近づかない、故に幻と呼ばれる。
この門に近づく人なんて……私みたいな人ばかりだから戻ってきた話も聞かない。
まさか本当にあるとは思わなくて、ものものしい佇まいに流石に足が止まったけど、今更引き返すこともなくその門をくぐって…………
考えている頭を起こして恐る恐る目を開いてみる。
「…………っ」
眩しい…………。
今が朝なのか昼なのかわからないけど頭が痛くなるほどの光。
それを遮るように覗く頭らしいものが4つ。
まだ目が慣れなくて霞んでてよく見えないけど。
「わ!シー〇が目覚ました!!」
「自分体大丈夫なんか!?」
「どっか痛むか?」
「…………リアルジブリすげぇ」
目を開けた瞬間一斉に喋りかけられる。
こっちもわけがわかってないのでとりあえず体を起こそうと力を入れる………けどズキッと腕に痛みが走って起き上がれなかったし、下に地面ではない硬さの何かがあって動きを止めた。
「…………………ってぇ……」
頭上から聞こえたその声にビックリして顔を上げて………さらにびっくりした。
綺麗な漆黒の髪から覗く切れ長の目、まつげが長くて影ができている。
悲痛に歪められた顔も、その声さえも綺麗すぎて。
こんなに綺麗な人みたことがない…と固まっていると、私が乗っている何かがのそりと動いた。
見てみるとビックリ。こんな綺麗な人の上に乗っているではないか…!
「ごごごごごごごごめんなさいっ…!」
痛む腕なんか忘れて慌てて転げ降りる。
