私は死亡者

私は思わず嘔吐きそうになる。
沙耶が肩を抱いてくれた。

「遼くん……本当に見てたんだよ。
美鈴が倒れて、血まみれで、息をしてないところを」

「遼は……私の遺体を見届けたの?」

「そう。なのに、遺体は消えた。
解剖前に、跡形もなく」

死体なき殺人。
世界は、私を“死体ごと”消そうとしている。

私は小さく呟いた。

「……私の死って、一体何だったの?」

沙耶が言った。

「美鈴、あんた殺されたのよ。
間違いなく。
ただ……犯人だけが、人じゃない」