私は死亡者

息はできている。
でも心臓の鼓動が薄い。
血の流れる感覚がどこか曖昧。

「帰ろ、美鈴。ここは危険すぎる」

うなずきながら立ち上がると、足元のアスファルトにふと目が留まった。

そこに、何かが残っている。

薄い黒い“痕跡”。
足跡でも影でもない、焼け跡のような。

しゃがんで指を伸ばした。

触れた瞬間——
脳裏に、夜の惨劇の映像が突き刺さった。

雨。
私の体。
そして——

“私の死体を抱いた遼の姿”