契約結婚した公爵閣下は、別邸に何かを隠している

 ゆったりと流れる時間に居心地の良い空間。ぽつぽつと交わす会話、興味深い彼の手元。穏やかなひとときにくつろいでいると、アラン様が手を止めた。糸を始末して編み針を置き、完成したばかりのレース編みのストールを手にアラン様が立ち上がった。座る私の前に片膝をつき、ふわりと、まるでベールのように私の頭にストールをかける。

「死が二人を分かつまで、私が作ったものを身につけてくださいますか」

 まるで結婚式の再現——まだ心が通っていなかった政略結婚での誓いを上書きするように、彼らしい言葉で。

 ずっとこの方の隣で……こうして茶を飲みながら、編み針を動かす器用な手先を見つめて。出来上がったものをアラン様が掲げ、私は笑って素晴らしい出来栄えだと褒めて、うれしそうに細められる目元を見つめる。そんな日々を、死が二人を分かつまで。それはとても、心温まる日々。

 どうかこの方がご無事で、末永く、共に年を重ねられるように、と願いが自然と心に沸き起こる。アラン様がお作りになったもので飾られることを、うれしく思う。私は満面の笑みを浮かべ、彼の手をとった。

「ええ、喜んで」