悄然と肩を落とし、アラン様が別邸の扉を開いた。扉の先には、広い一室にレース編みがかかったテーブルセット、壁一面の収納にずらりと並ぶ色とりどりの糸たち。これまたレース編みのかけられたソファーの上には可愛らしいぬいぐるみ。そして横長の作業台に広げられた——編みかけのレース。
「さて、出しゃばりましたが、私はここでお暇しよう。後はふたりでじっくり話し合われるといい」
「——ありがとう。助かった、ダグラス」
「いやなに。お前にも器用に立ち回れぬことがあるのだな」
振り返ると、ダグラス閣下が笑顔で手を上げ、踵を返したところだった。
「ありがとうございました」
閣下の背中に礼を言い、ひらりと振られた手に手を振り返す。それから……アラン様を見上げた。
「どうぞ、こちらへ」
アラン様は気まずげな表情を浮かべ、室内に招いてくださる。足を踏み入れ部屋を見回すなり、アラン様が取り繕うように口を開いた。
「その、違うのです」
振り返れば、顔色の悪いアラン様が弁明を始める。
「元帥閣下のご意向で、手先を使う細かな作業が集中力や忍耐力を鍛えることに役立つと、その、鍛練の一環でですね」
「……もしや、肩掛けや、今までいただいたドレスにあしらわれていたレースはすべてアラン様が?」
「そ、の通りなのですが」
「『鍛練の一環』という理由だけで、あれほどまでの技巧を?」
「制作を……好ましく思っていたのは、その、事実なのですが」
眉根をよせたアラン様が、頬を染めて観念したように口を割った。
「貴方をもっと飾りたいと、ここの所制作に熱が入っていたのも、また事実です」
「さて、出しゃばりましたが、私はここでお暇しよう。後はふたりでじっくり話し合われるといい」
「——ありがとう。助かった、ダグラス」
「いやなに。お前にも器用に立ち回れぬことがあるのだな」
振り返ると、ダグラス閣下が笑顔で手を上げ、踵を返したところだった。
「ありがとうございました」
閣下の背中に礼を言い、ひらりと振られた手に手を振り返す。それから……アラン様を見上げた。
「どうぞ、こちらへ」
アラン様は気まずげな表情を浮かべ、室内に招いてくださる。足を踏み入れ部屋を見回すなり、アラン様が取り繕うように口を開いた。
「その、違うのです」
振り返れば、顔色の悪いアラン様が弁明を始める。
「元帥閣下のご意向で、手先を使う細かな作業が集中力や忍耐力を鍛えることに役立つと、その、鍛練の一環でですね」
「……もしや、肩掛けや、今までいただいたドレスにあしらわれていたレースはすべてアラン様が?」
「そ、の通りなのですが」
「『鍛練の一環』という理由だけで、あれほどまでの技巧を?」
「制作を……好ましく思っていたのは、その、事実なのですが」
眉根をよせたアラン様が、頬を染めて観念したように口を割った。
「貴方をもっと飾りたいと、ここの所制作に熱が入っていたのも、また事実です」


