「佑介くんが眠り続けていた一週間、私がどんなに怖かったか、分かってる?」
蒼が初めて、怒ったトーンで声をあげた。
大粒の涙が、彼女の薄い頬を伝い、布団の上に落ちる前に消えていく。
「誰もいない、暗い部屋で、ただ佑介くんの呼吸が戻ることを願っているだけの時間が、どれだけ地獄だったか!何度も呼んだよ、何度も揺さぶったよ!⋯⋯でも、佑介くんは起きない。私の声は届かない!世界に、私一人だけが取り残されたみたいだった⋯⋯!」
彼女の叫びは、一週間の孤独が生んだ魂の悲鳴だった。
誰にも認識されず、ただ愛する人の死を特等席で見守り続ける。
その恐怖は、僕の想像を絶するものだったに違いない。
「だから、もう嫌なの。もし、佑介くんがこのまま死んじゃったら、私はどうなるの?佑介くんと一緒に、永遠の暗闇の中に消えていくの?それとも、佑介くんがいないこの世界で、誰にも見られず、ただ漂い続けるの?⋯⋯そんなの、耐えられない!」
蒼は僕の胸元を、掴めない手で何度も叩いた。
「だから、私は消えたい。佑介くんが死んじゃったら、私は本当に、ずっと一人ぼっち。佑介くんの中で私が消えれば、佑介くんは生きられる。現実の、温かい世界で生きていけるんだよ!」
僕は彼女の絶望を受け止め、絞り出すような声で言った。
「⋯⋯じゃあ、一緒に死のう」
「え⋯⋯?」
「蒼が一人になるのが怖いなら、僕も一緒に行くよ。君が消える場所まで、僕を連れていって。君のいない未来なんて、一分だっていらない。僕たちが一緒に消えれば、誰も一人ぼっちにならない。⋯⋯そうだろ?」
それは、中学生の僕が出せる、精一杯の解決策だった。
狂っていると言われてもいい。これが、僕の純粋な願いだった。
「⋯⋯佑介くん、何を⋯⋯」
「本気だよ。君がいない世界を生き抜くほど、僕は強くない。⋯⋯蒼、一緒に行こう。二人で。それでいいじゃないか」
僕の提案に、蒼は絶句した。
彼女の瞳には、僕の愚かさへの怒りと、そして、自分と同じくらい壊れるほど自分を愛してくれていることへの、深い悲しみが混ざり合っていた。
