夢幻に消えた君と、存在しない約束の続きを。



「佑介くん⋯⋯?」


僕が目を開けたことに気づき、蒼の大きな瞳から涙が溢れ出した。


「⋯⋯ぅん」


彼女の声は、まるですぐ隣で囁いているようなのに、どこか遠くの洞窟から響いてくるような、実体のない響きを帯びていた。


僕は必死に右手を動かそうとした。
彼女を抱きしめたい。その消えそうな肩を掴んで、どこにも行くなと叫びたい。


けれど、指先一つ動かすのにも、全身が言うことを聞かない。
押し付けられている感覚だった。


「⋯⋯っ⋯⋯ぁ⋯⋯」


言葉にならない叫びが喉を震わせる。
蒼は僕の苦悶に気づき、慌てて僕の手の甲に自分の手を重ねた。


「無理しないで。分かってる、分かってるから。ここにいるよ、ずっとここにいるからね」


嘘だ、と僕は心の中で叫んだ。


君の手はもう、僕に触れていない。

重みも、熱も、今の君からは感じられない。


僕の脳が、僕の命が、彼女という存在を維持できる限界をとうに超えてしまっていることを、残酷な数字やデータよりも、その透けた体が雄弁に物語っていた。