幸せすぎる時間は、いつも残酷なほど速く過ぎ去っていく。
楽しかった時間のあとは、いつも異常に辛く感じる。
クリスマスの夜、佑介くんの腕の中で眠りについた時、私はこのまま世界が止まってしまえばいいと願っていた。
けれど、窓の外が白み始め、夜の魔法が解けた朝に待っていたのは、目を覚まさない彼という冷たい現実だった。
「⋯⋯佑介くん、朝だよ。起きて?」
いつものように、彼の耳元で囁いてみる。
いつもなら「あと五分」なんて眠たそうに笑うはずの彼は、ピクリとも動かない。
規則正しく、けれど弱々しく上下する胸の音だけが、彼がまだこちら側に留まっていることを教えてくれる。
「ねえ、お菓子、まだ残ってるよ。一緒に食べよう?」
昨日買ったショコラスティックの袋が、机の上で寂しく光っている。
昨日のキスも、繋いだ手の熱さも、すべてが嘘だったんじゃないかと思えるほど、今の佑介くんは遠い場所にいるみたいだ。
私は震える指先で彼の頬に触れた。
体温はある。
でも、呼んでも、揺さぶっても、彼の瞳が私を映し出すことはなかった。
心臓の奥が、氷を流し込まれたみたいに冷たくなっていく。
これが、私が彼に強いた代償なのだと、突きつけられた気がした。
