蒼が、ずっと大切そうに持っていた右手の紙袋から、小さな包みを取り出した。
「はい、これ。私からの、クリスマスプレゼント」
「えっ、僕に?いつの間に⋯⋯」
驚きながら包みを開けると、中から現れたのは、深海のような美しい青色をした革製の手帳だった。
「手帳⋯⋯?」
「うん。私とのこと、ここにたくさん書いてほしいなぁって」
蒼が少し照れくさそうに微笑む。
受け取った手帳の重みを感じながら、僕はパラパラとページをめくった。
真っ白なページが続くと思っていた。けれど、最初の一ページ目を開いた瞬間、僕は息を呑んだ。
そこには、蒼の少し幼い、けれど一生懸命に綴られた文字で「したいこと」が並んでいたのだ。
『一緒にイルミネーションを見に行きたい』
『一緒にお菓子を食べてみたい』
『佑介くんの夢を聞いてみたい』
『佑介くんのちっちゃい時の話も聞いてみたいな』
『もっともっと、話したい』
『一緒におしゃれなカフェに行ってみたい』
『一緒に遊園地とか水族館も行きたいな』
それは、彼女が幻覚としてではなく、一人の女の子として二人一緒に叶えたかった、ささやかで切実な夢の欠片だった。
