夢幻に消えた君と、存在しない約束の続きを。



最近、世界がひどく遠く感じる。
日中の日差しさえ、薄い膜を通したようにぼんやりとしていて、抗いようのない眠気が常に僕の意識を侵食していた。


「⋯⋯佑介くん、聞こえているかな?」


小林先生が、カルテから目を離さずに問いかけてくる。
その声さえ、水の中から聞いているように籠もって聞こえた。


「⋯⋯はい。すみません、少しぼーっとしていて」


「以前よりも睡眠時間が大幅に増えているね。日中、急激な眠気に襲われたり、意識が飛ぶような感覚はないかい?」


先生の瞳には、明らかな懸念が浮かんでいた。
症状が進むことは、現実との接点が失われていくことを意味する。


「少し、疲れやすいだけだと思います。夜もよく眠れているし⋯⋯」


「佑介くん。脳の活動データに、無視できない異常が出ている。君が夢を見ている時間が長くなればなるほど、肉体はその負荷に耐えられなくなっていくんだよ」


先生の言葉は、冷たい氷の粒のように僕の心に突き刺さった。