中庭のベンチに腰を下ろすと、蒼は待ちきれない様子で袋を開けた。
「いただきまーす!」
彼女はまずメロンパンを手に取ると、大きく一口頬張った。
サクッという乾いた音と共に、バターと砂糖の甘い香りが周囲に広がる。
「んー!これだよ、これ!生きてる心地がする!」
本当に幸せそうに頬を膨らませる彼女を眺めていると、僕の空っぽの胃袋も、つられて「ぐぅ」と鳴ってしまった。
「⋯⋯なあ、それ、そんなに美味いのか?」
「気になる?ふふん、教えてあげない⋯⋯っていうのは嘘。はい、佑介くんも」
蒼がちぎったメロンパンの端を、僕の口元に差し出す。
「えっ、いや⋯⋯」
「いいから! 私の感謝の印なんだから、黙って食べて!」
断りきれずに口を開けると、彼女の指先がかすかに僕の唇に触れた。
暴力的なまでの甘さと、その熱が同時に僕の中へ流れ込んでくる。
「美味しい?」
首を傾げて覗き込んでくる彼女の瞳には、朝日を反射してキラキラと輝く星のような光が宿っていた。
「⋯⋯ああ、美味いよ」
「まぁ、祐介くんが買ったやつだからね」
「それはそう。また返せよ」
