夢幻に消えた君と、存在しない約束の続きを。



退院して数時間。
僕は父さんの車を降りるなり、自分の部屋へと駆け込んだ。


何かあるはずだ。父さんが隠しきれなかった、あるいは僕自身が無になる前に残した、彼女へと繋がる断片が。


僕はクローゼットの中身をすべてぶち撒け、机の引き出しを奥まで指で探った。
教科書、ノート、昔の玩具。

どれもが僕の空白の八年を物語るように、無機質に並んでいるだけだった。


「⋯⋯何もない。本当に、何一つ残ってないのかよ」


愕然として床に座り込む。
父さんが徹底して小野蒼を排除した結果が、この空っぽの部屋だった。

彼女の電話番号も、手紙も、写真の一枚すら見つからない。