翌日
樹のマンション
ピンポーン
樹:「響子!! どうして?!」
響子:「開けてちょうだい」
樹:「だめだ、帰ってくれ」
樹:ここは日和と二人だけの場所
響子:「追い帰すならぜーったいに婚約解消しないわよ」
樹:……
カチャ
樹:「向田さんは?」
響子:「連れてきてもらって、車で待ってる」
樹:「で、いつまでこんなことするの?」
響子:「…もう少しだけ」
樹:「無駄だと思うよ。僕との仲をいくら見せつけてもヤキモチ一つ焼かないよ、あの人は…もういいでしょ、やめようこんなこと」
響子:「いやよ! 婚約解消してあなただけ彼女とうまくやろうなんてズルいわ。最後まで協力してもらうわよ」
響子:あのレストランで、私もほんとは樹と婚約したくないとバレてしまった
でも私から婚約解消を持ち掛けなければ、この婚約話はなくならない
だからあの時…
ー 数日前、二人で食事したレストランで
樹:「で、響子もこの婚約には反対なんでしょ?」
響子:「反対というか…」
樹:「響子が好きなのは向田さん?」
響子:「なっ…」
樹:「なんとなく?」
響子:そう、私は大人でかっこよくて仕事にストイックな向田さんにずっと憧れていた
でもそれを恋だと決定打に変えたのはあるパーティーで
男1:「おい早川んとこの息子と伏見のお嬢ちゃんが婚約するって話聞いたか?」
男2:「いや知らない、それホントか?」
男1:「内内で話が進んでるって聞いたぞ」
男2:「まああのお嬢ちゃんは嫁にいくくらいしか伏見の役には立たないか」
男1:「ほんとそれな」
響子:何この人たち…勝手にそんなこと……私だって…
二人の男が自分の話をしているのを聞いて出るに出られず立ち止まっている響子
向田:「失礼ですが、それは思い違いではないでしょうか」
スッと向田が二人の会話に入ってきた
男1:「と言いますと?」
向田:「響子さんは伏見のご令嬢としてそれに見合った勉学に励んでおられますし、自分の意見が言えるとても芯のしっかりした女性だと認識しておりますが、違いましたか?」
男1:「あーそう、そうなんですね、我々少し思い違いをしていたのかも」
男2:やべー こいつ早川会長の…
男2:「では我々はこれで…」
響子:向田さん…さらっと私のフォローしてくれた
響子は向田を思うと胸が熱くなるのを感じるのだった
響子はある日のパーティーでの出来事を思い出していた
響子:「って、私そんなにわかりやすかった?!!」
樹:「まあ」
響子:「樹にバレてるってことはもしかして向田さんにダダ漏れ?!!」
樹:「あの人はそんなに鈍感じゃないしね」
響子:私ったら…
響子はそのまましばらく考えこんだ
そして
響子:「樹、あなたが私に協力してくれるなら婚約解消してあげてもいいわよ」
響子:ってあの時協力してもらう約束をして、何日かこんなことしてるけど全然効果ないみたい。でもこのまま引き下がる訳にはいかない
響子:「樹、あなたにはもう少しだけ協力してもらうから」
響子:なんて捨て台詞残して樹の部屋飛び出したけど、私いつの間にか嫌な女になってるな……
