コタツの上に和菓子とお茶が並んでいる
珠子:「ここ最近 祐生の表情が明るくなったの。昔何があったかまでは詳しく知らないんだけど、日和ちゃんと仲直りできたからかもしれないわね」
日和:「いやそれは…」
珠子:「あの子、私にはあまり言わないんだけど、陽次にはいろいろ話すみたいで」
日和:あ、あのケーキの…
珠子:「いろいろ誤解されることもあるけど、本当は優しくていい子なのよ」
日和:「そう…ですね…再会してから何度も謝ろうとしてくれてたんだと思います。私が逃げてばかりいて申し訳なかったです」
珠子:「いいのよ、ちゃんと仲直りできたんだから。今はすごくいい顔になったし」
日和:?
珠子:「あの子もいろいろあってね…私の息子長男の方ね、結婚して隣町に住んでたんだけど、祐生が生まれてしばらくして夫婦仲がうまくいかなくなっちゃって…祐生が小学2年の時だったかしら、ついに離婚して母親に引き取られて引っ越して行っちゃって」
日和:…私をからかってた頃だ
珠子:「私もそれから数年は会ってなかったけど、母親が祐生が中2の時に亡くなってしまって…」
日和:え…
珠子:「父親に引き取られたんだけど、再婚して当時3歳の弟がいてね。祐生は弟をとてもかわいがってたんだけど、義理の母親とうまくいかなくて…で、追い出される形になって私のところに…」
日和:え?! 待って…そんな時に私……
落ち込む日和の顔を見た珠子は慌てて
珠子:「あ、違うの! 日和ちゃんにそんな顔させるつもりじゃなくて…日和ちゃんのおかげでいい顔をするようになったのが嬉しくて」
日和:珠子さん…
日和:「…それは私じゃなくて珠子さんや陽次さんのおかげだと思います。この家はとても温かくて居心地がいいですから」
珠子:「日和ちゃん…ありがとう」
月曜日
祐生の教室の前を日和がうろうろしている
それに気づいた舞香
舞香:「何か用?」
日和:あっ、確かこの人和泉くんの…
日和:「えっと…祐…水本くんに…」
舞香:「…水本くーん、呼んでるよ」
舞香が呼ぶと祐生は日和に気付き、慌てて立ち上がった
日和:「あ、ありがとう」
日和がお礼を言うと、舞香は軽く微笑んで教室に入っていった
祐生:「とうした? 桐谷」
日和:「あっ、その…この前は傘ありがとう」
そう言って折り畳み傘を祐生に手渡した
祐生:「ああ」
日和:「あの…雨に濡れて風邪とか大丈夫だった?」
祐生:「そんなにヤワじゃねーよ」
ホッとする日和
祐生:「そうだ、陽ちゃん…カフェのマスターが一度店にケーキ食べにおいでって言ってた」
日和:「あっ、うん、一度行ってみたいと思ってた」
祐生:「オレあそこでバイトしてるから…もしあれならオレがいない時間帯教えるけど」
日和:? どうしてそんなこと…
日和:「!! べ、別に祐生くんいる時間に普通に行くよっ」
祐生:名前…
祐生:「そ、そうか」
祐生ははにかみ微笑んだ
そんな二人の様子を舞香は遠くから眺めていた
