ベッドで寝ころぶ俺の上に双子の兄が覆いかぶさっているという信じがたいリアルに、脳が誤作動を起こしている。
逃がさないと言わんばかりのバカ力で、両腕を押さえつけられた。
身動きがとれない。
日々鍛えているこの俺が?
「はなせ、甘音!」
体を揺すってもほどけないって、白タキシードが似合う細身の体のどこにこんなバカ力を隠してたんだよ!
真上に迫る、甘音の闇落ちした怒り顔。
一切笑わず、悔しそうに唇をかみしめながら俺を見下ろしてくる。
きつく握りしめれらた拳が、甘音の顔の横に並んだ。
弟の顔を殴る気かよ、そうですかそうですか、どうぞご勝手に。
なにもかもがもうどうでもいいと下がる眉尻。
俺の頬に人生のリセットボタンが埋め込まれていれば、甘音のパンチで生まれ変われるんだけどな。
願うは甘音のいない世界。
若葉を独占できる幸せ。
その二つが手に入るなら、他は何も求めない。
「卑怯な手で甘音から宝物を奪った憎き弟の頬はここだぞ」
開き直った俺は、あえて右頬を甘音の方に向ける。



