背負い投げ、一本、お見事!と、テレビ中継なら実況者が歓喜の雄たけびを上げていただろう。
気づいたら俺はベッドの上に大の字になっていた。
弟に向かって柔道の投げ技をきめこむ兄なんて、この世に存在するのか。
いや、目の前にいるし、今されたし。
数日前に体育の授業で習ったとはいえ、復習するの早っ。
実践相手に選ばれたせいで、仰向けでベッドに倒れこんだじゃねーか。
いくらマットレスに弾力があるって言ってもな、投げ飛ばされたら痛いんだよ。
こいつマジ危ない。
ほんと許せない。
俺がお前よりも怖い存在だってことを思いしらせてやる!
額の血管がブチりといきそうなほど、体中の血が怒りで膨張している。
「あ~~ま~~ね~~! き~~さ~~ま~~!!!」
刺された恨みまみれの幽霊のように四つんばいで手を伸ばし、怒り声を甘音に突き刺す。
一発ぶん殴らなきゃ気が済まない。



