「オマエが吐いた空気を吸いこんでると思うと吐き気がするんで、じゃあ」
嫌味節で会話しめくくり、ドアに向け歩き出した時だった。
「は? 逃げるとかありえないんだけど」
俺の歩みを止めるほどの強い力で、肩を掴まれたのは。
まじか。
足の裏の踏ん張りがきかなかった。
不意打ちなんてありかよ。
甘音の手のひらの圧に抗えず、簡単に体が後ろに傾いていく。
このまま倒れれば、固い床に背中強打はまぬがれない。
敵が背を向けている時に襲うなんて卑怯な兄、マジで許せん。
衝撃と痛みに耐えようと目をつぶる。
も、背中が床にぶつかる直前で腕を掴まれギリセーフ。
背中強打は免れたものの。
は? 意味が分かんねーんだけど。
勢いよく放り投げられ、俺の顔面がベッドに沈み込む。
床に立てひざ状態で、窒息回避と布団から顔を離した。



