「僕の記憶が戻らなければ良かったって思ってるでしょってなに? 安心して、もう甘音くんのことは好きじゃないってメッセが届いたけど、俺は何に安心すればいいの? 俺は紅亜よりも若葉のことが好きなんだよ。若葉が記憶喪失にさえなってなかったら、紅亜に奪われるなんてありえなかったのに」
普段の冷静さと余裕はどこに行っちゃったよ。
マシンガンのごとく和音羅列をドドドとぶつけてくる。
そっか、オマエも若葉に嫌われたんだ。
ご愁傷様。いい気味。甘音だけ幸せなんて許せねぇし。
「俺を恨むなら勝手にどうぞ。でもってお帰りはあちらのドアからどうぞ」
薄ら笑いを浮かべ、執事のように軽く頭を下げながら手のひらでドアを指す。
バカにしたような鼻笑いを吹きかけられ、失恋の傷をえぐられたんだろう。
俺を睨みつける甘音の眼光はギトギトに燃えたぎっていて、怒りは消火不可能レベルに達している。
でもまぁ、お前の怒り顔なんて怖くないんだ、ほんとごめんな。
耐性がつきすぎてるっつーの。
ここまで喧嘩しまくりの双子も珍しいよなっていうくらい生まれてから衝突しまくってきたんだから、当たり前って納得して部屋から出てってくれない?



