悔しさで緩む涙腺。
口に広がる血の苦さが、俺の敗北を訴えてくる。
若葉の記憶が戻って欲しいとこの世で一番つよく願っていたのは、間違いなく俺なんだよ。
俺たちが結ばれたあの日を、恋人として過ごした幸せで甘酸っぱいあの1か月を、それらの記憶さえ戻れば若葉はまた俺を選んでくれるかもしれない。
紅亜と別れ、俺の隣で嬉しそうにメロンクリームソーダを飲んでくれるかもしれない。
宝物が奪われた絶望まみれの日々を生きるなか、俺の胸を灯してくれていたのはかすかな希望だったんだ。
極度の悲しみと怒りが混ざり合うと感情は怪物になると、本で読んだことがある。
今の俺は明らかに冷静さを欠いている。
若葉がどう思うかなんて考えられない。
俺の恋心をわかって欲しい。
若葉を奪われどれだけ傷ついたか気づいてほしい。
もう一度俺を好きになってよ。
言ってくれたのに、俺のことが大好きで俺を幸せにしたいって。



