「なに? ニヤニヤして」
ぶっきらぼうで問われ、フフと笑みを返した。
「僕の恋人は夕日が似合うなって思って」
スキップするように跳ねる恋心に従って紅亜くんの手をさらに強く握りしめた僕だったけれど……
あれ?
キラキラなスポットライトを浴びる舞台から、いきなり闇夜の深海に蹴落とされたような息苦しさに襲われ歩みを止める。
時間さでまとわりついてきた、不気味さをまとった灰色の違和感。
屋上? 恋人? 甘音くん?
背中が震えだし、心が闇色に染まりだし、紅亜くんと繋がっているのが怖くなり自ら手を離した。
なにこの自動再生される記憶は。
知らないよ、でも鮮明に思い出せるんだ。
僕と甘音くんはお昼休みの屋上で軽い喧嘩をした。
僕は逃げ出して、階段を駆け下りて。
相変わらず僕を無視の紅亜くんとすれ違ったところでステップを踏み外して、「若葉!」という悲鳴に近い紅亜くんの声が耳に届いて。
頭に激痛が走って、痛みに耐えられなくて、もう無理と意識が遠のいていって……
【1】【7】【8】【2】
目を覚ませと4つの数字が僕の脳裏に浮かび上がってくる。
「どうした?」と心配声が届いたけれど、紅亜くんに笑顔を返す余裕なんてない。
178.2センチ。
そうだ、甘音くんの身長だ。



