そっと差し出された大きな手のひら。
俺がこんな甘いことをするなんてと言いたげに目をそらす彼の手が、明らかに僕を欲している。
照れながらも僕自身を求めてくれたことが嬉しくてたまらない。
僕がわんこなら、大好きなご主人様にしっぽ乱振りで飛びついて、顔をなめまわしていただろう。
人間は控え目が大事、甘い雰囲気に流されちゃダメだ。
わんこの求愛行動はまだ僕たちには早いと自分に言い聞かせ、笑顔で紅亜くんの手を握りしめた。
夕日に照らされた僕たちの関係を長い影が物語っている。
道路に浮かび上がっている二人の影はまさに恋人同士。
心臓がくすぐったい。
手を繋いでいるだけなのにドキドキが胸を圧迫してくるから、この痛みから逃げたいような浸り続けていたいような相反する感情に支配されてしまう。
綺麗な夕日を眺めながらふと思った。
以前の僕なら、外で男子と手をつなぐなんてできなかった。
他人の目が怖い。
変な噂を流されないか、悪口を言われないか。
心配ばかりが膨らみ臆病になっていた。



