――好きな人。
そう、僕は紅亜くんが好きなんだ。
幼なじみという関係には戻れない、戻りたくない。
紅亜くんの恋人という唯一無二の特等席を、僕だけが占拠し続けたい。
高校を卒業しても、社会人になっても、おじいちゃんになってもずっとずっと。
記憶とともに消えてしまった恋心を取り戻せたことが、嬉しくてたまらない。
紅亜くんからの告白をオッケーした時の僕も、今みたいな幸せに浸っていたんだろうな。
達成感で心が高揚し、なんともいえないくすぐったさで頬がゆるんでしまう。
子供のころから抱き続けてきた甘音くんへの想いは、初恋の思い出写真となってセピア色に色あせた。
虹色に輝く恋心は、紅亜くんだけにうずく恋愛仕様に生まれ変わってくれた。
愛おしいなと、紅亜くんの背中を見つめながら思う。
言葉にするのが恥ずかしくて、半歩後ろから紅亜くんの袖をつまんでみた。
彼の長い脚が止まり、僕の足も急ブレーキをかけたように地面を踏みしめる。
「見られても若葉が困らないなら」



